2024-01-24

弁理士法改正に関する提言

(2024120日付 大韓弁理士会発行 知識財産ニュース)

 

                           金明信

                                                                                                                                    大韓弁理士会 顧問

 

2006年、2008年、20225月の3回にわたって特許侵害訴訟事件において、弁護士を訴訟代理人とするものの、事件当事者が願うと弁理士を追加して訴訟代理人とすることができる弁理士法改正案が国会の所管常任委員会を通過し、法司委員会に回付されたが、弁護士資格を持つ法司委員たちが弁護士の職域に不利益が生じる可能性があると判断し、法体系と字句修正および法案の妥当性の検討もせずに、従来と同様に法案の墓という第2小委員会に回付し、再び会期満了で同法案を廃棄させる準備をしている。

 

弁護士資格を持つ法司委員らは公職者の利害衝突防止法第4条第3項と国会法第32条の5により、利害が衝突する法案審議には参加してはならないにもかかわらず、審議に参加して今まで一方的に不当な違法行為を続けてきた。

 

このような法司委員会の不法越権行為は単に弁理士法だけでなく、税理士法、公認労務士法、関税士法、公認仲介士法などの改正案が国会の所管常任委員会で長い審議の末に通過させた時にも続けていた。法をつくる国会議員、その中でも法司委員自らが率先垂範はどころか違法行為を続けているのだから嘆かわざるを得ない。

 

このような法司委員会の違法な運用の弊害を是正するために国会は2021914日、国会法第86条第5項を新設し「法司委員会は回付された法律案に対して体系と字句の審査範囲を外れて審査してはならない」という強行規定を設けたが、この条項に違反しても刑事処罰規定がない珍しい強行規定として残っている。しかも国会法第32条の5に明示された利害衝突法案に対して国会議員が回避申請をせずに法案審議に参加すれば国会法第155条により懲戒対象になるよう規定しているが、法司委員が実際に懲戒処分を受けたという事例を聞いたことがない。

 

このような状況が続く限り、いくら合理的な弁理士法などの改正案が国会の所管常任委員会を再び通過しても国会法司委員会を通過する可能性は皆無である。

 

一方、現在弁理士が実際に取り扱っている産業財産権実務を勘案してみると、半導体集積回路、コンピュータプログラム、不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律上の関連業務、種子産業法の植物新品種業務、ドメインネーム、関税法上の産業財産権登録業務及び対外貿易法上の産業財産権関連業務などは弁理士の業務として明示することが望ましい。なぜなら、現実的に弁理士がこれら業務を取り扱っているにもかかわらず、弁理士法に明文規定がなければ弁護士法違反という法的問題が台頭され得るためである。

 

また、弁理士試験の受験生は2次試験の選択科目の中で著作権法とデザイン保護法を一番多く選択しており、特に著作権法を選択する人が最も多いという。このような環境で著作権法を弁理士試験の2次必須科目に含ませようと筆者が20223月大韓弁理士会定期総会で提案し議決されたことにより特許庁長に試験科目の変更を建議したところがある。著作権法が弁理士試験の2次必須科目として採択されれば、1997年に民事訴訟法が弁理士試験の主管式科目として採択されたように弁理士職域に大きな転機を設けることになるだろう。

 

そして弁理士としての業務を開始するためには、弁理士は公益性法定団体である大韓弁理士会に必ず加入するようになっているが、特許庁に弁理士資格登録のみをし、弁理士としての業務を行うに当たって大韓弁理士会にも加入せず、会費も納付しておらず、ひいては会員実務研修教育を受けなくてもこれを処罰できる刑事処罰規定がないことが発見されたが、これは立法上の不備であるため、他の資格士団体と同じに必ず刑事処罰規定を設けなければならないと思われる。

 

産業財産権の価値鑑定を巡って大韓弁理士会と韓国鑑定評価士協会が争っているが、一般不動産と動産に対する価値鑑定は鑑定評価士の業務に属することが正しいが、産業財産権に関するいかなる知識もない鑑定評価士が産業財産権の価値鑑定をするというのは言語道断であるため、この業務を弁理士法に明示するためでも弁理士法を改正しなければならない。

 

このような状況で弁理士法改正に関するいくつかの提言をしようとする。

 

第一に、大韓弁理士会、韓国税理士会、韓国公認労務士会、韓国関税士会および韓国公認仲介士協会の5つの資格士団体が共同名義で法司委員会の不法運用が憲法上保障された国民の平等権を無視しており、公職者の利害衝突防止法と国会法に違反していると憲法裁判所に憲法訴願審判を請求すること。

この請求は弁理士資格を持った弁護士が弁理士としての業務を開始する際に大韓弁理士会に必ず加入しなければならないという弁理士法規定が憲法に違反すると請求した従来の事案とは異なるものとして、この請求に関する判決を受けるまでは多くの時間がかかるが、いつかはやらなければならないことなので審理期間を短縮するためにも早急に請求した方がよい。

 

第二に、今年4月の総選挙が終わった後、5つの資格士団体が奮発して立法請願運動をより積極的に展開する一方、ユーチューブチャンネルを作って一般国民も自発的にこの運動に参加できるよう導くことで5万人以上の請願者数を達成して国会法を必ず改正するようにすること。

昨年、5つの資格士団体が共同で法司委員会の法体系および字句審査権を先進国のように国会内の他の部署で遂行できるよう国会法を改正してほしいとして国会法に基づいて国民同意立法請願を行おうとしたが、これら5団体の会員数が14万人余りになっているにもかかわらず、請願者数がわずか16,000人余りにとどめて規定された一ヶ月以内に5万人の請願者数が充足できなかったため、正式請願として認められておらず、国会会期が終わると廃棄されるようになる。

 

第三に、5つの資格士団体が共同名義で国民権益委員会の設置と運営に関する法律第39条に基づき、国民権益委員会に、国会法司委員会の違法運営のために5つの資格士団体が回復できないほどの苦痛を継続して受けているという請願を申請し、国民権益委員会が国会に対してその不当な慣行を是正するための勧告決定をするようにすること。

 

第四に、5つの資格士団体が共同名義で国会法第32条の5に明示された利害衝突規定と公職者の利害衝突防止法第4条第3項に違反している法司委員を国会法第155条に基づいて懲戒してほしいと国会議長に陳情書を提出すること。

 

第五に、弁理士も特許侵害訴訟を代理できるようにすること。

聞いたところによると、英国のIP企業協会が韓国政府とFTA交渉を準備中の英国外交部側に英国で弁理士が特許侵害訴訟を代理しているように、韓国でも弁理士が特許侵害訴訟を代理できるよう韓国政府と交渉してほしいと要請したという。もしこのような要請が事実であり、この交渉が成功すれば、韓国弁理士法改正に当たって大きな転機が設けられるだろう。

 

第六に、弁理士の業務を現実的に拡張するために弁理士法を改正し、著作権法を弁理士試験の2次必須科目に含ませるよう弁理士法施行令を改正すること。

 

第七に、弁理士が弁理士としての業務を開始するために特許庁に弁理士資格登録のみをし、大韓弁理士会には加入しないまま弁理士業務を遂行すると刑事処罰ができるよう弁理士法を改正すること。

 

第八に、産業財産権の価値鑑定が弁理士の業務であることを明示するよう弁理士法を改正すること。

 

第九に、弁護士資格を持つ法司委員らの不法不当な議政活動を告発する言論広報を大々的に展開すること。

 

十番目に、いくら最善を尽くしても法司委員会の不法な運用が改善されないとすれば、5つの資格士団体が共同名義で法司委員の違法行為に対して刑事告発する措置も考慮できるようにすること。

 

まとめると、先端技術時代に国際的に進行される特許侵害訴訟で弁護士と弁理士が共同で代理しており、その訴訟の結果が訴訟当事者に及ぼす経済的負担が想像を絶する点、現在弁理士が代理している特許無効訴訟と弁護士が代理している特許侵害訴訟は共に民事訴訟法に基づいて進行されており、また公知技術又は侵害技術が特許権の範囲内に属するかどうかを争うことが同じ点、特許侵害訴訟は現在弁護士と弁理士が一緒に働いている大型ローファームが事実上独占しているため、訴訟費用が過度に高いことが現実であるため、弁理士にも訴訟代理権が許されれば、中小ローファームの弁護士も働く機会ができて訴訟費用が安くなり得る点、先端技術の内容を知らない弁護士だけが代理しているため、訴訟期間が長期化する点、科学技術界、産業界および特許訴訟当事者が20年間弁理士の訴訟代理を念願してきた点、国家競争力の向上、米国、英国、EU、日本、中国、台湾では弁理士に訴訟代理権を付与している国際的な先例、法司委員会の違法な運用を是正するための国会法改正案が再び国会に提出されている点、さらに最近国会議長が任期満了を控えて法司委員会の法体系と字句修正権限を他の機構へ移転する勧告案を与党と野党の院内代表に提案しているため、いつにも増して国会法改正の可能性が高い点などをまとめて考慮してみたとき、弁理士法改正案は21代国会でなければ22代国会では必ず通過できることを展望する。