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改正韓国特許法における明細書補正及び分割出願の可能時期のご案内(2009年7月1日施行)

 2009年7月1日施行の改正韓国特許法(以下、‘改正法’)では再審査制度が導入され、 分割出願の可能

     時期が拡大されました。

1.これと関連して、改正法の下において明細書の補正可能時期および分割出願の可能時期の変化につい

     て察し見た上で、分割出願時期の選択において留意する点、および分割出願の活用方案についてご紹

     介するように致します。

                                                                                                                   
  明細書の補正 分割出願
(1)拒絶理由通知がない場合、特許決定の謄本送達前
(2)最初拒絶理由に対する意見書提出の期間内
(3)最後拒絶理由に対する意見書提出の期間内
(4)特許拒絶決定を受けた場合1)
   
(a)再審査を請求するとき
(b)拒絶決定不服審判の
    請求可能期間内
×
(5)再審査後、特許拒絶決定を受けた場合における拒絶決定不服審判の請求可能期間内 ×

 

2.現行法によると、出願明細書等を補正することができる期間2)に分割出願が可能であります。すなわち、出願明細書等の補正時期と分割出願可能時期が同一であります。

 

ところが、上記の表に示されておりますように、改正法では特許拒絶決定(再審査後の特許拒絶決定を含む)に対して拒絶決定不服審判を請求することができる期間内に分割出願を行うことは可能でありますが、出願明細書等の補正は許容されません。

 

特に、最初に特許拒絶決定を受けた場合(上記表における(4)の場合)には、再審査の請求という選択的な手段が設けられているため、出願人はこれを選択して明細書等を補正することができますが、再審査後に特許拒絶決定を受けた場合(上記表における(5)の場合)には拒絶決定不服審判を請求してその決定の不当性について争うか、または分割出願を行うことは可能であるものの明細書等の補正は不可能であるという点に留意しなければなりません。

 

3.このように、改正法においては、再審査後に特許拒絶決定を受けた後には明細書等の補正を行うことができないため、単一性の違背を解消するための分割出願3)特許可能なものと審査された請求項の迅速な登録のための分割出願4)は出願明細書を補正することができる最後の機会である再審査を請求する際、またはそれ以前に行うのが有利であります。

 

4.また、下記のような目的を有した分割出願をする場合には、最初の特許拒絶決定に対応して予め分割出願をするよりも、再審査を請求して再審査を受けた後、再審査後にも特許拒絶決定が下された場合(上記表において5の場合)、初めて分割出願することが改正法に対する合理的な対応であるものと思われます。

 

 

(1)再審査後、特許拒絶決定書に特許可能なものと審査された請求項がある場合、拒絶決定不服審判を請求せずにこれら請求項を分割出願して権利化する場合5)

 

(2)特許可能であると審査された請求項に対してまでも、今後は一切特許拒絶決定が確定

         する危険性に備えて6)、拒絶決定不服審判を請求した上で、予備として分割出願する

         場合。    

 

(3)拒絶決定不服審判を請求してその不当性を争う代わりに、分割出願をしながら請求の

         範囲を再構成して新たな審査手続きを進める場合。

 

(4)外国の対応特許の審査結果を利用するために分割出願する場合7)

 

 

 5.以上、改正法の出願明細書の補正および分割出願の可能時期に関する規定は2009年7月1日以後の出願に対して適用されます。

                                                                                                 

1)改正法は審査前置制度を廃止する代わりに、特許拒絶決定を受けた後に拒絶決定不服審判を請求しなくても直ちに30日(一回に限り2月の延長可能)以内に明細書等を補正した上で再審査を請求することができる再審査請求制度を導入した。したがって、出願人は特許拒絶決定に対して(1)再審査または(2)拒絶決定不服審判を選択的に(両方は請求することができない)請求することができる。再審査を請求する場合には、当該特許拒絶決定は取消されたものと見なされる。

 

2)現行法の下において明細書等を補正することができる時期は、特許決定の謄本送達前、最初拒絶理由に対する意見書提出の期間内、最後拒絶理由に対する意見書提出の期間内、または特許拒絶決定不服審判請求日から30日以内である。改正法の下でも2009年7月1日以前の出願は上記期間に明細書等の補正及び分割出願が可能である。

 

3)再審査後、特許拒絶決定を受けた後には請求の範囲を含めて一切の明細書を補正することができない。したがって、原出願の請求の範囲において分割しようとする発明を削除することができないため、発明の個数分だけの分割出願をしなければならない。

 

4)再審査後、特許拒絶決定に対応して拒絶決定不服審判請求とともに請求の範囲のうち特許可能な請求項のみを分割出願する場合において、原出願に対しては削除補正も許容されないため、原出願と分割出願に同一の発明が存在するようになる。特許庁はこのような場合に、原出願に対する拒絶決定不服審判の審決確定時まで分割出願に対する審査を保留する。原出願に対して最終的に拒絶決定が確定すると、分割出願は特許決定され、原出願が最終的に特許決定されれば、分割出願に対しては先出願主義違背の拒絶理由が通知される。

 

5)現行法においては、拒絶決定不服審判請求をしなければ分割出願を行うことはできなかったが、改正法は審判請求をしなくても拒絶決定不服審判を請求することができる期間内に分割出願を行うことができるように規定している。

 

6)出願一体の原則により、一つの請求項にでも拒絶理由がある場合、出願全体が拒絶される。

 

7)韓国は外国に比して審査速度が非常に速く、進歩性の判断も比較的厳格であるため、外国における審査結果を反映しようとする場合、分割出願することがある。例えば、韓国は米国および日本と審査ハイウェイ制度を運営しているため、米国または日本において特許決定が下されれば、韓国の分割出願の審査請求時に外国の対応特許の特許決定を参考資料として提出することができる。